Inspection results for Mitsubishi UFJ Bank, Ltd.

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株式会社三菱UFJ銀行に対する検査結果に基づく勧告について 1.勧告の内容  証券取引等監視委員会が株式会社三菱UFJ銀行(東京都千代田区、法人番号5010001008846、取締役頭取執行役員 半沢 淳一、資本金17,119億円、常勤役職員32,786名、登録金融機関)を検査した結果、下記のとおり、当該登録金融機関に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。 2.事実関係   (1) 銀証間における不適切な顧客情報の共有等 ア 銀証間における不適切な顧客情報の共有等   金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号において、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)は、当該金融商品取引業者又はその親法人等若しくは子法人等による非公開情報の提供について、あらかじめ発行者等の書面又は電磁的記録による同意がある場合等を除き、当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等と当該発行者等に関する非公開情報を受領又は提供してはならないとされている。   しかしながら、株式会社三菱UFJ銀行(以下「当行」という。)の役職員は、親法人等である三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(東京都千代田区、法人番号4010001129098、取締役社長 小林 真、以下「MUMSS」という。)との間において、法人顧客から情報共有を禁止されていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該法人顧客に関する非公開情報の授受を少なくとも10回にわたって行っていた。なお、一部の非公開情報の提供に関しては、当行専務執行役員(当時)自らも提供している状況も認められた。 (主な事例1)   A社株式の売出しに関する非公開情報について、A社は役員自らが、当行に対し、MUMSS及びモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社(東京都千代田区、法人番号2011001046046、代表取締役社長 田村 浩四郎)の2社(以下、当該2社を総称して「系列証券会社」という。)への情報提供の禁止を再三伝達していた。しかしながら、当行専務執行役員(当時)は、当該情報提供が禁止されていることを認識していたにもかかわらず、系列証券会社が当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、当該売出しの実行時期、金額、方法等に関する情報をMUMSSに提供した。   当行代表取締役(当時)は、不適切な情報提供が行われている可能性があることを認識したものの、当該専務執行役員からA社役員との間で事実上の黙認が成立している旨の報告を受け、違法性のある行為ではなかったと誤認したとしている。そのため、当該専務執行役員に対してそれ以上の詳細な事実関係の確認を行っておらず、内部管理統括責任者をはじめとしたコンプライアンス部署に一切の連絡を行わないなど、特段の対応を指示しなかった。このため、当行は、本件について適切な是正措置を講じていなかった。  なお、当該専務執行役員とA社役員との間で、実際は、黙認が成立していなかった。 (主な事例2)  B社が予定していた企業買収に際し、買収資金に係る融資契約の締結に向けた交渉過程でB社より伝えられた本件買収の実施予定に関する非公開情報について、当行行員は、B社から本件買収にかかる秘密保持契約の取り交わしを求められ、秘密保持契約を交わしたにもかかわらず、B社の意思に反し、MUMSSに非公開情報を提供した。 イ 法人関係情報の管理態勢不備等  金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号において、登録金融機関は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じなくてはならないとされている。  しかしながら、上記アのとおり、当行の役職員は、MUMSSとの間で不適切な法人関係情報の授受を少なくとも10回にわたって行っていた。  また、社内規程に基づく適切な管理を行わないなど、法人関係情報の不適切な管理も少なくとも11件認められた。  このほか、当行行員は配偶者名義で開設した証券口座を利用し、平成30年7月から令和5年11月までの間、専ら投機的利益の追求を目的として、勤務時間中の発注を含め、主に信用取引により短期間での同一銘柄反対売買を行う手法により、自己の計算に基づく有価証券の売買を多数回(約5000回、約20億円)にわたり行っており、このうち少なくとも4銘柄の売買については、職務上知り得た法人関係情報に基づく不適切な有価証券の売買であった。なお、当該行員が所属していた部署は、法人関係情報を用いて業務を行う部署ではあるものの、Need to Know原則(顧客等に関する情報へのアクセス及びその利用は業務遂行上の必要性のある役職員に限定されるべきという原則)に反し、本来、法人関係情報を知る必要のない行員に対しても法人関係情報が広く伝達されている状況にあった。   当行における上記のような状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。また、当行行員における専ら投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第12号に該当するものと認められる。   上記ア、イの行為等は、当行役職員が、銀証間で情報の授受を行ってはならないことを認識しながら、案件獲得という当行及び系列証券会社の利益を優先したものであり、当行専務執行役員自らが非公開情報を提供している状況及び当行代表取締役も不適切な情報提供があった可能性を認識している状況が認められるなど、銀証連携ビジネスの推進にあたり、当行として法令等遵守意識が希薄であることに起因するものであり、当行においては法令等遵守態勢に不備があるものと認められる。 (2) 登録金融機関による有価証券関連業の禁止   金融商品取引法第33条第1項において、登録金融機関は有価証券の引受業務などの有価証券関連業を行ってはならないとされている。   しかしながら、当行は、有価証券の引受等に関し、上場会社等に対して、系列証券会社を引受先や割当先とするよう交渉及び勧誘する行為を少なくとも28回にわたって行った。当該行為は、本検査での指摘を受けるまで多数の部署において広く継続的に行われていた。   なお、上記不適切勧誘の一部に関しては、当行の営業部店から当行代表取締役(当時)に対して、当行関与によりMUMSSの案件獲得に至った旨の報告がなされており、当該代表取締役においても不適切な勧誘行為が行われていることを認識している状況も認められた。   株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(東京都千代田区、法人番号4010001073486、代表執行役社長 亀澤 宏規、以下「MUFG」という。)は平成30年に策定した中期経営計画において、グループ収益の最大化を目指す施策を打ち立てており、その一環として、当行の収益目標についても、従来のグループ連携収益と銀行収益の2本柱の目標から銀行収益を含むグループ収益に1本化されている。このため、行員の業績評価においても、MUMSSに対して顧客ニーズの連携(案件紹介)を行い、系列証券会社で成約に至り収益計上された利益金額が、当行の行員の営業実績にも反映される仕組みとなっていた。   このような状況のもと、当行の多数の部署において不適切勧誘が行われることとなり、一部営業店の行員においては、銀行収益と系列証券会社収益を比較して、系列証券会社収益の方が大きい場合には系列証券会社の契約を獲得する方が収益目標額との関係でも利点が多いと考えたうえで行動している状況も確認された。 (主な事例1)   C社の社債発行に関し、MUMSSの提案内容が他社に劣後している状況を把握した当行は、C社に対して、MUMSSの引受シェアが全くないと厳しいため、MUFGとしてMUMSSを主幹事とし、引受シェアを与えてもらえるよう交渉を繰り返し行った。しかしながら、C社からMUMSSに引受シェアを与えない方針があらためて伝えられたことから、当行は、同時期に当行とC社の間で折衝していた融資条件から金利スプレッドの引下げ、弁護士費用及び担保を免除する一方、MUMSSの引受シェアを得られるよう交渉を行った。その結果、MUMSSは幹事に指名され引受シェアを得られることとなった。   このほか、当行はC社に関する別の社債発行に際しても同様の交渉を行い、MUMSSが主幹事に指名されているが、その際、当行の営業部店から当行代表取締役(当時)に対して、当行が何度もC社に対してMUMSSの引受交渉に関与した結果がMUMSSの契約に結びついた旨の報告がなされていた。 (主な事例2)   当行はD社から期間10年の融資要望を受けていた。同時期に予定されていたD社の公募増資に関し、当行の関連部署間において、期間10年で融資する取組意義は証券取引の拡大である旨の議論が行われた結果、当行はD社に対して、期間10年の融資をする条件として系列証券会社の引受シェアを引き上げてほしい旨の抱き合わせ勧誘を行った。   D社が、当行に引受シェアを引き上げなかった場合、今後の当行との融資に影響が生じるのではないかと危惧している旨の懸念を伝えると、当行は、仮に系列証券会社の引受シェアの引き上げがない場合、貸出金額の変更こそしないが、貸出期間については短縮する意向である旨を伝達した。   当行における上記行為は、登録金融機関による有価証券関連業を禁止する金融商品取引法第33条第1項に違反するものと認められる。   なお、上記のような状況は、当行経営陣において、MUFGがグループ会社間の営業連携やこれに伴うグループ収益の拡大を掲げる中で、当行行員がグループ収益の確保に向けて、法令で禁止されている引受交渉等に自ら関与するリスクの認識が希薄であったことにより発生したものと認められる。   上記(1)(2)の行為は、グループ連携に係る適正な内部管理態勢を構築・運用する責務を負っている経営陣が、その責務に照らして求められるべき認識を持たず、上記の不適切行為の発生を未然に防止するために必要な内部管理態勢を構築していないなど、経営陣によるガバナンスが十分に発揮されていないことに起因するものであり、当行においては、適切な業務運営を確保するための経営管理態勢に不備があるものと認められる。  参考資料(PDF:560KB)   (参考条文)   〇 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄) (金融機関の有価証券関連業の禁止等) 第三十三条 銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関(以下この条、次条及び第二百一条において「金融機関」という。)は、有価証券関連業又は投資運用業を行つてはならない。ただし、有価証券関連業については、金融機関が他の法律の定めるところにより投資の目的をもつて、又は信託契約に基づいて信託をする者の計算において有価証券の売買若しくは有価証券関連デリバティブ取引を行う場合は、この限りでない。 2~3 (略) (禁止行為) 第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。 一~八 (略) 九 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為 (適合性の原則等) 第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。

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Securities and Exchange Surveillance Commission has published an update regarding the insider trading allegations regarding Abalance Inc.

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令和6年6月4日 証券取引等監視委員会 Abalance株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について  証券取引等監視委員会は、本日、金融商品取引法違反(内部者取引)の嫌疑で、嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発した。告発の対象となった犯則事実については下記のとおり。 1.告発の対象となった犯則事実  犯則嫌疑者は、東京証券取引所が開設する有価証券市場に株券を上場していたAbalance株式会社(以下「Abalance」という。)の執行役員を務めていたものであるが、令和5年1月中旬頃、その職務に関し、太陽光パネルの製造販売等を営む子会社の業務執行を決定する機関が固定資産の取得を行うことについての決定をした旨の同社の業務等に関する重要事実を知り、法定の除外事由がないのに、同重要事実の公表前である同月下旬頃、証券会社を介し、東京証券取引所において、自己名義で、Abalanceの株券合計1万9400株を代金合計約5316万円で買い付けたものである。 2.関連条文  金融商品取引法  第197条の2第13号、第166条第1項第1号、同条第2項第5号リ、同法施行令第29条第3号  法定刑:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれを併科

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Recommendations based on inspection results for Asunaro Co., Ltd.

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令和6年5月24日 証券取引等監視委員会 株式会社あすなろに対する検査結果に基づく勧告について 1.勧告の内容  関東財務局長が株式会社あすなろ(東京都港区、法人番号3040002080117、代表取締役 大石 恭嗣、資本金990万円、常勤役職員9名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。 2.事実関係 ○ 顧客のため忠実に投資助言業務が行われていない状況 (1) 特定の顧客に対し、単発スポット銘柄の配信前に銘柄情報を伝達し、売買等の助言を行う行為等  株式会社あすなろ(以下「当社」という。)は、原則週1回、上場株式1銘柄の買付けを推奨する投資助言を行っており、所定の日時に銘柄名や買付推奨価格等をメール又は自社ウェブサイトにおいて配信(その際配信される銘柄を以下「単発スポット銘柄」という。)している。  こうした中、当社における投資助言業務統括者である甲部長は、令和4年5月から同5年3月までの間に配信した単発スポット銘柄55銘柄のうち、顧客Aに対しては少なくとも6銘柄について、顧客Bに対しては少なくとも16銘柄について、以下の流れで不適切な行為を行っている事実が認められた。 ⅰ.甲部長は、単発スポット銘柄の配信を行う約1週間前に、社内での検討を踏まえつつ投資助言を行う1銘柄を決定する。 ⅱ.単発スポット銘柄が決定すると、当該銘柄の配信前に、顧客2名に対し、スマートフォンのメッセージアプリ等において当該銘柄の買付けを助言する。 ⅲ.単発スポット銘柄の配信日(寄付き前)に、顧客2名に対し、ⅱ.と同様の方法により、当社が配信する買付推奨価格の上限付近の価格等を指値とする売付けを助言する。 ⅳ.単発スポット銘柄の株価が売り指値まで上昇しない場合は、指値を下値に訂正するなど、早く売り抜けるよう助言する。 ⅴ.一連の助言を受けた顧客2名は、事前に買い付けた単発スポット銘柄を配信日(寄付き後)に売り抜け、顧客Aは少なくとも239万円、顧客Bは少なくとも306万円の利益を得ている。  また、甲部長は、上記行為に加え、令和4年9月から同5年3月までの間、一部の顧客に対し、単発スポット銘柄の配信前に、銘柄名は伝達しないものの、どの程度の価格の銘柄かなどを伝達し、配信直後に銘柄名を伝達したらすぐに発注できるよう、準備を依頼したうえで、配信直後に当該銘柄名や成行注文による買付けなどを助言していた。 (2) 上記の行為を見過ごし、かつ、これを防止する態勢を構築していない状況  当社は、単発スポット銘柄の決定を行ってから配信を行うまでの情報管理方法に係る規定を定めておらず、情報の取扱いについて徹底した指導も行われていないほか、業務時間中のスマートフォンの管理を厳格に行っていないなど、情報管理が不十分な状況であった。さらに、甲部長の上記(1)ⅱ.、ⅲ.及びⅳ.の行為は、投資顧問契約の締結の勧誘を目的の一部として行われていたものであるが、当社は、当該勧誘の適切性を確認するための実効性あるモニタリングも行っておらず、上記(1)の行為を防止するための内部管理態勢を構築していない状況であった。  このため、当社は、甲部長が上記(1)の行為を、長期間にわたり、業務時間中に執務室の自席で行っていたにもかかわらず、これを見過ごしていた。  当社が、上記(2)のとおり甲部長の行為を見過ごし、かつ、これを防止する態勢を構築しないまま、一般の顧客に単発スポット銘柄を助言すること、また、甲部長が、その業務に関し、当社の特定の顧客(顧客A及びB)に対して、事前に助言銘柄を伝達するとともに売買等の助言を行うこと及び当社の一部の顧客に対して、事前に発注方法の助言等を行うことは、配信日における一般の顧客の取引に基づく価格の変動を利用して特定の者の利益を図るために行われた行為であり、これは一般の顧客と特定の者との間の公平性の観点や、利益相反の観点から問題があるなど、正規の手続きにより投資顧問契約を締結した多くの一般の顧客をないがしろにし、その信認を裏切るものである。このような当社の業務運営の状況は、顧客のため忠実に投資助言業務を行っていない状況と認められ、金融商品取引法第41条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められる。    参考資料(PDF:148KB)   (参考条文)   ○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄) (顧客に対する義務) 第四十一条 金融商品取引業者等は、顧客のため忠実に投資助言業務を行わなければならない。 2 (略)

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Inspection results of Avatrade Japan Co., Ltd.

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令和6年5月14日 証券取引等監視委員会 アヴァトレード・ジャパン株式会社に対する検査結果に基づく勧告について 1.勧告の内容  関東財務局長がアヴァトレード・ジャパン株式会社(東京都港区、法人番号2010401081157、代表取締役社長 丹羽 広、資本金1億円、常勤役職員8名、第一種金融商品取引業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、令和6年4月23日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。 2.事実関係  ○  改ざんしたデータを使用してストレステストを実施している状況  アヴァトレード・ジャパン株式会社(以下「当社」という。)は、令和3年5月頃、ストレステストの結果が悪化しつつあった。近い将来、ストレステストの結果が更に悪化する蓋然性が高いとの不安を抱いた当社の丹羽広代表取締役社長(以下「丹羽社長」という。)は、ストレステスト結果の悪化を回避するため、親会社のコンプライアンス部門の最高責任者に対し、ストレステストに使用する顧客データの改ざんを依頼した。その結果、令和3年5月末から令和5年3月末の各月末のうち、少なくとも13日について、ストレステストに使用する顧客データから大口取引顧客の上位数名のデータを削除したうえで、ストレステストを実施した。  令和5年5月頃、ストレステストの結果が再度悪化してきたことから、丹羽社長は親会社に対して資金提供を依頼した。しかし、親会社が積極的に応じる姿勢を示さなかったことから、丹羽社長は、当社監査室長に対し、顧客データを改ざんするよう指示した。その結果、当社監査室長は、令和5年5月から同年8月末までの少なくとも24日について、顧客データの一部を削除したうえで、ストレステストを実施した。  当該状況は、一般社団法人金融先物取引業協会(以下「協会」という。)の規則に基づき、ストレステストを実施すべきところ、正しく実施していないものと認められる。  また、協会にストレステストの結果を報告する必要があるところ、当社は改ざんしたデータを用いてストレステストを実施しており、正しいデータに基づくストレステストの結果の報告を行っていないものと認められる。  さらに、ストレステストの結果を踏まえ、必要な場合には、経営の健全性を確保するための措置を講じる必要があるところ、具体的な措置を講じていないものと認められる。  上記については、丹羽社長自らの法令等遵守意識の欠如に起因して改ざんが行われ、親会社のコンプライアンス部門の最高責任者がデータ改ざんに関与するなど、親会社を含めたガバナンスや内部けん制が機能していないことにより発生したと認められる。  当社の上記行為のうち、ストレステストを正しく実施していない状況については、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第21号の4に該当するものと認められる。  また、協会への報告を行っていない状況については、同項第21号の6に、ストレステストの結果を踏まえ、経営の健全性を確保するための措置を講じる必要があるところ、講じていない状況については、同項第21号の5に該当するものと認められる。 (参考条文)   ○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)  (適合性の原則等) 第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。 一 (略) 二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。 〇 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)   (業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの) 第百二十三条 法第四十条第二号に規定する内閣府令で定める状況は、次に掲げる状況とする。 一~二十一の三 (略) 二十一の四 特定通貨関連店頭デリバティブ取引(第百十七条第一項第二十八号の二に規定する特定通貨関連店頭デリバティブ取引をいう。次号から第二十一号の八まで及び第七項において同じ。)について、金融商品取引業者(指定親会社を親会社(法第五十七条の二第八項に規定する親会社をいう。)とする特別金融商品取引業者を除く。以下この号から第二十一号の六まで及び第六項において同じ。)が、その所属する金融商品取引業協会の規則(金融庁長官の指定するもの(以下この号から第二十一号の六まで及び第六項において「協会規則」という。)に限る。(協会規則を定める金融商品取引業協会に加入していない金融商品取引業者にあっては、金融庁長官の指定するもの。次号及び第二十一号の六において同じ。))の定めるところにより、ストレステスト(外国為替相場の変動その他の変化があったものとして、当該金融商品取引業者に生ずる損失を計算し、経営の健全性に与える影響を分析することをいう。次号及び第二十一号の六並びに第六項において同じ。)を実施していないと認められる状況 二十一の五 特定通貨関連店頭デリバティブ取引について、金融商品取引業者が、協会規則の定めるところにより、ストレステストの結果を踏まえ、必要があると認められるにもかかわらず、経営の健全性を確保するための措置を講じていないと認められる状況 二十一の六 特定通貨関連店頭デリバティブ取引について、金融商品取引業者が、協会規則の定めるところにより、ストレステストの結果を、その所属する金融商品取引業協会(協会規則を定める金融商品取引業協会に加入していない金融商品取引業者にあっては、当該金融商品取引業者の本店等の所在地を管轄する財務局長(当該所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合にあっては福岡財務支局長))に報告していないと認められる状況 二十一の七~三十六 (略) 2~16 (略)

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Recommendation of surcharge payment order regarding false statements in quarterly reports, etc. at Aldepro Co., Ltd.

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ホーム 報道・広報 証券監視委について 証券監視委の取組み 基本指針等 採用情報 市場へのメッセージ 証券取引等監視委員会 株式会社アルデプロにおける四半期報告書の虚偽記載等に係る課徴金納付命令勧告について 1.勧告の内容  証券取引等監視委員会は、株式会社アルデプロ(法人番号9011101006414)(以下「当社」という。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。 2.法令違反の事実関係 ア 当社は、売上の過大計上の不適正な会計処理を行った。  ※不適正な会計処理等の概要については、 別図(1)のとおり。    この結果、当社は、関東財務局長に対し、令和5年法律第79号による改正前の金融商品取引法(以下「旧金融商品取引法」という。)第172条の4第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある以下の四半期報告書を提出した(「重要な事項につき虚偽の記載」の内容は別紙1の表の番号1のとおり)。   ・令和5年4月第3四半期四半期報告書(令和5年6月14日提出) イ 当社は、当社の主要株主である者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社の子会社(以下「関連当事者に該当する会社」という。)との取引を「関連当事者との取引」(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条の10第1項又は連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第15条の4の2第1項)として、財務諸表又は連結財務諸表への注記を行わなかった。  ※不適正な会計処理等の概要については、 別図(2)のとおり。    この結果、当社は、関東財務局長に対し、金融商品取引法第172条の4第1項に規定する「記載すべき重要な事項の記載が欠けている」以下の有価証券報告書を提出した(「記載すべき重要な事項の記載が欠けている」の内容は別紙1の表の番号2から4のとおり)。   ・令和2年7月期有価証券報告書(令和2年10月30日提出) ・令和3年7月期有価証券報告書(令和3年10月29日提出) ・令和4年7月期有価証券報告書(令和4年10月28日提出) 3.課徴金の額の計算  上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、2,100万円である(計算方法については別紙2のとおり)。 【別紙1】四半期報告書の虚偽記載等の内容 番号 対象書類 虚偽記載 提出日 書類 会計期間 記載項目 主な内容(注) 主な事由 1 令和5年 6月14日 第36期第3四半期(令和5年2月1日~同年4月30日)に係る四半期報告書 令和4年8月1日~令和5年4月30日の第3四半期連結累計期間 四半期連結 損益計算書 売上高が 6,518百万円であるところを 13,963百万円と記載 売上の過大計上 (注)金額は百万円未満切捨てである。 番号 対象書類 記載すべき事項の欠缺

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