Opinions expressed at the meeting between experts and the Fair Trade Commission published

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令和6年2月21日 公正取引委員会  公正取引委員会は、毎年度、全国の主要都市において、主要経済団体、消費者団体、弁護士会、学識経験者、報道関係者等の有識者と当委員会の委員等との懇談会を開催することで、各地域の実情や幅広い意見・要望を把握し、独占禁止法等の運用にいかしています。  令和5年度においては別紙1のとおり開催したところ、有識者(別紙2)から示された主な意見の概要は以下のとおりです(地区別の主な意見は別紙3のとおりです。)。  公正取引委員会としては、これらの意見を踏まえて、今後とも独占禁止法等の的確な運用に努めてまいります。 1 中小事業者等の取引適正化について (1) 労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の適正な価格転嫁  大企業に比べ、労働分配率が高い中小企業、小規模事業者の事業の継続のためには、賃上げの原資の確保が喫緊の課題である。公正取引委員会には、適切な価格転嫁と賃上げの好循環の実現に向けた機運を高め、持続的な形で実体経済に影響をもたらすよう、引き続き後押しをお願いしたい。(千葉市)  厳しい経営環境の中で価格転嫁を進めるためには、適正な価格転嫁の必要性が経済界全体に浸透し、発注者側、受注者側の双方が相手方の実情を十分に理解した上で、真摯な協議を行うことが重要であると考える。公正取引委員会においては、関係省庁と連携し、適正な価格転嫁に関する機運醸成に向け、企業への広報を強化するとともに、必要に応じて個別指導を行うなど適切な取引関係の構築に向け、今後とも尽力していただきたい。(松山市)  価格転嫁について、全体の印象として、原材料価格の上昇分については広く認めてもらえるようになったという声があるが、電気料金といったエネルギーコストの価格転嫁については説明が難しいという声があり、労務費、賃上げはまだまだこれから取り組んでいくという印象である。中小企業が利用できるような、価格転嫁に関する成功事例を発信して周知していただきたい。(佐賀市)  価格転嫁について、今後は、労務費の上昇分を製品価格に転嫁できるか、また、消費者の理解が得られるかが重要になってくる。中小企業は、最低賃金の上昇に合わせて賃金を上げざるを得ないので、労務費の上昇分を製品価格に適切に転嫁させることが重要である。(神戸市)  運送業界では、取引上の力関係が、荷主の方が強く、なかなか運送費の値上げができず、厳しい状況が続いている。国土交通省は、令和5年7月から「トラックGメン」を創設し、荷主や元請事業者への監視を強化しており、同年10月には、政府がいわゆる「2024年問題」解消に向け、「物流革新緊急パッケージ」を表明したところである。是非、当該「パッケージ」で掲げられている「適正な取引」の実現に向けて、公正取引委員会にもお力添えいただきたい。(北海道釧路市)  昨今の原材料価格の高騰に係る転嫁について、実情は、一般的な中小事業者側から価格交渉を持ち掛けること自体が非常に困難であると思われる。そのため、全業種について、発注者側の事業者に対して「年に1回程度は、取引先と価格交渉を行いましょう」といった啓発が政府からなされると非常に有り難い。(山口県下関市)     (2) インボイス制度の導入に伴うしわ寄せ防止  インボイス制度への対応について、免税事業者からは、経過措置が設けられているにもかかわらず、消費税相当額を取引価格から引き下げられたなどといった相談が寄せられている。公正取引委員会は、独占禁止法や下請法に違反する行為には厳正に対処してほしい。(神戸市)  インボイス制度への対応について、免税事業者である仕入先に対し、取引価格から消費税相当額を値引きせよなどと要請するといった行為が行われているのではないかとの情報に接することもある。免税事業者はこうした要請をやむを得ず受け入れているという実態もあるのではないか。 (3) フリーランスの取引適正化  今後の話として、フリーランス新法が運用されることによって、発注者側にとって色々と手間が増えてしまい、結果としてフリーランスの方々と取引しなくなるのではないか、つまり、本来であればフリーランスを守るための法律が結局フリーランスを守ることができないといった側面もないわけではないと思う。(福島市)  フリーランス新法について、労働法上は問題がなくても、フリーランス法上は問題があるというように、両者で結論が異なる場面が出てくることが予想される。ガイドライン等では相互の関係性について整理してほしい。(神戸市) 2 デジタル・プラットフォーム関係について  デジタル市場については、クラウドサービス等のデジタル関連サービスが必要不可欠になる中、ビッグテック企業の寡占状態にあり、ビッグテック企業のサービスは、一度そのサービスを利用し始めると別の事業者のサービスに乗り換えることが難しいという、ロックインの問題があるため、利用者のビッグテック企業に対する価格交渉力は非常に弱い状況にある。(神戸市)  ニュース配信契約において、ニュースプラットフォーム事業者がニュースメディア事業者との取引価格を著しく低く設定することは優越的地位の濫用に当たるという考え方を公表したことは非常に画期的なものであると考えている。また、公正取引委員会は、ニュースが国民に適切に提供されることが、民主主義の発展に欠かせないとの考え方、つまり、ニュースプラットフォーム事業者がニュースメディア事業者に対して正当な対価を支払うことによって、信頼できる良質な報道が維持され、それが消費者の利益につながるという考え方も示しており、引き続きこのような広報を積極的に行っていただきたい。(松山市)  最近では、デジタル分野の取引において、提供側が一方的に取引条件を決め、それを消費者側が一方的に受け入れなければならないという問題があるので、是非実態調査をしていただきたい。(佐賀市) 3 独占禁止法の運用について  公正取引委員会では様々な取組を行っていただき心強い限りだが、より積極的に独占禁止法違反の調査を実施していただきたいと思う。(千葉市)  通信機器の標準必須特許の異業種へのライセンスについて、様々なレベルのサプライチェーンと交渉が行われる際に、独占禁止法上問題になることがないか注視してほしい。(静岡市) 4 競争環境の整備のための取組(アドボカシー)について  従来は規制が厳しかった市場においては、たとえ自由化が進んだとしても事業者は従来と同じ行動を取りがちであることから、現在、ガス事業等の自由化や規制改革が進んでいる市場等においても、市場分割カルテル等が行われていないか又は競争環境がしっかりと整っているのか等、注視していく必要があるのではないか。また、以前に実態調査を行った分野についてもフォローアップ等を行うことも必要であると考える。(福島市)  ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書に記載の内容は、多くの報道機関がまさに「我が意を得たり」と心強く感じたに違いない。ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者との取引について言えば、古くからの不平等な商取引が、「国民の知る権利」を担保すべき報道の世界で横行している状況にあることを看過できないと考えており、公正取引委員会には報告書の内容に沿う形で、改善へと導くような、力強い指導・勧告をお願いしたい。(千葉市)  最近の公正取引委員会の活動について、エンフォースメントだけではなくて、実態調査報告書にも力を入れていることは非常に評価されるべきである。また、他国の競争当局と活発な意見交換を行うことが、日本の競争政策に資するので、これからも連携を重ねてほしい。(静岡市) 5 広報・広聴活動について  公正取引委員会の活動を目にする機会が増えれば、公正取引委員会が身近に感じられるようになるため、広報広聴活動には力を入れて根気よく続けていただきたい。(山口県下関市)  下請法の適用範囲について、委託内容で判断に迷うことが多い。適用を受ける委託取引について、もっと具体的な事例を公表していただけると幸いである。(北海道釧路市)  「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」では、価格交渉の申込み様式(例)まで載っており、非常に助かると思う。同指針については、しっかりアピールしてもらいたい。(千葉市)  フリーランスは、相談窓口が分からなかったり、申告することで取引を切られたりするのではという懸念を持っている。ホームページだけではなく、広報活動を活用して、相談の入口を分かりやすくしてもらうと、諦めずに相談してみようと思うのではないか。(静岡市)      6 公正取引委員会の体制強化について  近年は経済分析を専門に行う経済分析室が新設され、様々な案件において経済分析を用いた調査等を行っており、非常に良い傾向であると感じている。今後も、引き続き経済分析を用いた調査等を行うことにより、実績・事例の蓄積を行っていただく等、経済学の視点を持った法執行を行っていただくことに期待している。(福島市) 関連ファイル (印刷用)(令和6年2月21日)有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について(618 KB) PDF形式のファイルを開くには、Adobe Reader(旧Adobe Acrobat Reader)が必要です。 お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。 Adobe Readerのダウンロードへ 問い合わせ先

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JFTC is soliciting opinions on the “Antitrust Act Approach to Activities of Business Operators, etc. Aimed at Realizing a Green Society (Revised Proposal)”

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令和6年2月15日 公正取引委員会  公正取引委員会は、事業者及び事業者団体(以下「事業者等」といいます。)によるカーボンニュートラルの実現に向けた取組を後押しすることを目的として、令和5年3月31日、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(以下「グリーンガイドライン」といいます。)を公表しました。グリーンガイドラインの公表以降、公正取引委員会は、その内容について、事業者等への周知・説明を実施するとともに、具体的な取組に関する相談を受けてまいりました。  グリーンガイドラインについて、公正取引委員会は、継続的に見直しを行うことを表明していますが、具体的な相談事例や事業者等との意見交換の結果を踏まえ、今般、グリーン社会の実現に向けた共同廃棄、共同調達等の取組について、独占禁止法上の考え方の更なる明確化を図るべく、グリーンガイドラインを改定することにより、事業者等のグリーン社会の実現に向けた取組を後押しすることとしました。この点につきましては、令和5年6月には、「経済財政運営と改革の基本方針2023」や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」が、同年11月には、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が、それぞれ閣議決定され、グリーンガイドラインについて更なる明確化を行うことが、政府の方針として明記されています。  つきましては、別紙「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(改定案)」について、後記のとおり関係各方面から意見を募集いたします。 1 資料入手方法 ⑴ 電子政府の総合窓口(e-Gov)に掲載 ⑵ 公正取引委員会のホームページに掲載 ⑶ 公正取引委員会事務総局経済取引局調整課(東京都)、各地方事務所(札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市及び福岡市)及び支所(広島市及び高松市)並びに内閣府沖縄総合事務局総務部公正取引課(那覇市)において供覧 2 意見提出方法  住所、氏名(法人又は団体の場合は、主たる事業所の所在地、名称及び意見提出者の氏名)及び連絡先(電話番号又は電子メールアドレス)を明記の上、次のいずれかの方法により日本語にて提出してください。電話による意見は受理いたしかねますので、その旨御了承願います。 <電子政府の総合窓口(e-Gov)意見提出フォームの場合>  「e-Gov パブリックコメント」(URL:https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public)画面中の「「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(改定案)」に対する意見募集について」から、意見募集要領等を確認後、「意見入力へ」のボタンをクリックし、意見入力画面から御提出ください。 <電子メールの場合>   電子メールのファイル形式はテキスト形式としてください。   添付ファイルや URL へのリンクによる意見は受理いたしかねますので、その旨御了承願います。   電子メールアドレス:green2024-○-jftc.go.jp    公正取引委員会事務総局経済取引局調整課    グリーンガイドライン改定案パブリックコメント担当 宛て    (迷惑メール防止のため、アドレス中の「@」を「-○-」としております。電子メール送信の際には「@」に置き換えて利用してください。)    (注)電子メールの件名を「グリーンガイドライン改定案に対する意見」と明記してください。 <郵送の場合>  〒100-8987   東京都千代田区霞が関1-1-1 中央合同庁舎第6号館B棟   公正取引委員会事務総局経済取引局調整課   グリーンガイドライン改定案パブリックコメント担当 宛て 3 意見提出期限 令和6年3月18日(月)18:00必着 4 意見提出上の注意  寄せられた意見につきましては、住所、氏名、電話番号及び電子メールアドレスを除き、公表することがあります。また、意見に対して個別に回答はいたしかねますので、その旨御了承願います。  なお、御記入いただいた住所、氏名、電話番号及び電子メールアドレスは、御提出いただいた意見の内容に不明な点があった場合等の連絡のために利用するものであり、この連絡以外の目的では利用いたしません。 関連ファイル (令和6年2月15日)「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(改定案)」に対する意見募集について(201 KB) (別紙)グリーンGL改定案(1,931 KB) (参考1)新旧対照表(改定案)(1,001 KB) (参考2)改定案概要(857 KB) 英語版はこちら 問い合わせ先 問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局調整課 電話 03-3581-5483(直通) ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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JFTC has launched a consultation on the joint actions by petrochemical complex constituent businesses to achieve carbon neutrality

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令和6年2月15日 公正取引委員会  公正取引委員会は、山口県周南市に所在する石油化学コンビナート(以下「周南コンビナート」という。)において石油化学製品等(以下「製品」という。)の製造販売を行っている出光興産株式会社、東ソー株式会社、株式会社トクヤマ、日鉄ステンレス株式会社及び日本ゼオン株式会社(以下「出光興産ほか4社」という。)から、周南コンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた共同行為についての相談を受け、独占禁止法上問題がない旨の回答を行ったところ、他の事業者及び事業者団体(以下「事業者等」という。)にも参考になると考えられることから、当該相談の概要を公表することとした。 第1 本件相談の概要 1 相談の要旨  出光興産ほか4社は、周南コンビナートにおけるカーボンニュートラルの2050年の実現(注)に向けて、以下⑴から⑶までを主とした取組を共同で行う。 (注)カーボンニュートラルとは、「人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれ」ることをいい、我が国における2050年までの実現を旨とするとされている(地球温暖化対策の推進に関する法律第2条の2)。 ⑴ 製品の製造に必要となる電力を得るための発電設備等で使用する燃料について、化石燃料から燃焼時に二酸化炭素の排出がないアンモニア等に転換するため、以下アからエまでの取組を行い、結果として、二酸化炭素の大幅な削減を見込むものである。   ア   アンモニア等を燃料とする共同の発電設備等の設置及び利用   イ   前記アで用いるアンモニア等の共同購入及び受入体制の共同整備   ウ   前記アによって不要となる各社が所有する発電設備等についての計画的な廃棄   エ   前記アからウまでの取組の実施の可否の検討に必要となる情報交換(製品の価格等の情報を含まない。) ⑵  製品の原材料について、化石燃料を原材料に用いた基礎化学品(エチレン、プロピレン等)から、二酸化炭素の排出が少ない原材料(バイオマス等)を用いたバイオ基礎化学品等(バイオエチレン、バイオプロピレン等)に転換するため、以下アからウまでの取組を行う。   ア   バイオ基礎化学品等の原材料の共同購入   イ   前記アで共同購入した原材料を用いたバイオ基礎化学品等の共同生産   ウ   前記ア及びイの取組の実施の可否の検討に必要となる情報交換(製品の価格等の情報を含まない。) ⑶  製品の製造の際に排出される二酸化炭素の共同での回収、燃料・原材料への再利用又は貯留   2 独占禁止法上の考え方 ⑴ア  事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することは、不当な取引制限(独占禁止法第2条第6項)に該当し、独占禁止法上問題となる(独占禁止法第3条)。   イ  グリーン社会の実現に向けた事業者等の取組は、多くの場合、事業者間の公正かつ自由な競争を制限するものではなく、新たな技術や優れた商品を生み出す等の競争促進効果を持つものであり、温室効果ガス削減等の利益を一般消費者にもたらすことが期待されるものでもある。そのため、グリーン社会の実現に向けた事業者等の取組は基本的に独占禁止法上問題とならない場合が多い。   一方、事業者等の取組が、個々の事業者の価格・数量、顧客・販路、技術・設備等を制限することなどにより、事業者間の公正かつ自由な競争を制限する効果(以下「競争制限効果」という。)のみを持つ場合、新たな技術等のイノベーションが失われたり、商品又は役務の価格の上昇や品質の低下が生じたりすることにより一般消費者の利益が損なわれることになり、それが名目上はグリーン社会の実現に向けた事業者等の取組であったとしても、原則として、独占禁止法上問題となる。   そして、ある具体的な事業者等の取組に競争制限効果が見込まれつつ競争促進効果も見込まれる場合、当該取組の目的の合理性及び手段の相当性(より制限的でない他の代替的手段があるか等)を勘案しつつ、当該取組から生じる競争制限効果と競争促進効果を総合的に考慮して、当該取組が独占禁止法上問題となるか否か判断されることとなる(グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(以下「グリーンガイドライン」という。)「はじめに」2(基本的考え方))。   ウ  事業者等の共同の取組のうち、競争制限効果が見込まれない行為は、独占禁止法上問題とならない。   競争制限効果が見込まれない行為としては、価格等の重要な競争手段である事項に影響を及ぼさない、新たな事業者の参入を制限しない、及び既存の事業者を排除しないといった要素を満たす事業者等の共同の取組のほとんどがこれに該当すると考えられ、グリーン社会の実現に向けた事業者等の共同の取組の多くは、独占禁止法上問題とならない形で実施することが可能であると考えられる(グリーンガイドライン第1-1(独占禁止法上問題とならない行為))。 ⑵ア  前記1⑴の共同行為によって二酸化炭素の大幅な削減が見込まれるなど、周南コンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた出光興産ほか4社が実施する前記1⑴から⑶までを主とした取組は、グリーン社会の実現に向けた取組であることが認められる。以下、これを前提として検討する。   イ   まず、前記1⑴から⑶までを主とした取組が出光興産ほか4社が周南コンビナートにおいて製造する製品の我が国における製造販売市場における競争に与える影響について検討する。      (ア) 前記1⑴から⑶までを主とした取組は、出光興産ほか4社が周南コンビナートにおいて製造する製品のコストに影響を与える取組であるが、当該製品のうち、多くの製品については、出光興産ほか4社間に競合関係がなく、共同行為による競争制限効果が見込まれないため、一定の取引分野における競争の実質的制限が生じることはなく、独占禁止法上問題となるものではない。      (イ) また、出光興産ほか4社が周南コンビナートにおいて製造する製品のうち、競合する製品については、共同行為による競争制限効果が見込まれるものの、地理的範囲が「日本全国」として画定されることなどから、出光興産ほか4社以外に有力な競争事業者が存在したり、当該製品の需要者から競争圧力が働いていたりするなどの市場の状況にあるため、一定の取引分野における競争の実質的制限が生じることはなく、独占禁止法上問題となるものではない。   ウ  次に、前記1⑴イの取組で行うアンモニア等の共同購入及び前記1⑵アの取組で行うバイオマス等の共同購入によって、アンモニア等及びバイオマス等の購入市場における競争に与える影響について検討する。      (ア) アンモニア等を燃料とした発電及びバイオマス等を原材料としたバイオ基礎化学品等の製造は、現在、確立されていない技術であるため、将来的なアンモニア等及びバイオマス等の需要量と供給量は不明である。      (イ) しかしながら、アンモニア等及びバイオマス等は、世界的なカーボンニュートラルの動きによって需要及び供給が拡大される見込みであることから、今後、アンモニア等及びバイオマス等の購入市場の競争は活発になることが見込まれる。また、共同行為によって購入されることが想定されるアンモニア等及びバイオマス等の量は供給量に比して限定的である。以上のことから、共同行為による競争制限効果が見込まれるものの、一定の取引分野における競争の実質的制限が生じることはなく、独占禁止法上問題となるものではない。   エ  出光興産ほか4社が実施する前記1⑴から⑶までを主とした取組は、いずれも一定の取引分野における競争の実質的制限が生じることはなく、独占禁止法上問題となるものではない。 3 回答の要旨  出光興産ほか4社が実施する前記1⑴から⑶までの共同行為については、周南コンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現が目的であって、共同行為によって出光興産ほか4社の製品の製造販売市場における競争の実質的制限が生じることはなく、また、出光興産ほか4社が共同購入等するアンモニア等及びバイオマス等の購入市場における競争の実質的制限が生じることもないことから、いずれも独占禁止法上問題となるものではない。  また、前記1⑴から⑶まで以外の共同行為であっても、前記2のとおり、出光興産ほか4社が実施する周南コンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた共同行為は、製品の販売価格のカルテルといった競争制限行為に該当する場合を除いて、一定の取引分野における競争の実質的制限が生じることはないと考えられるため、独占禁止法上問題となるものではない。

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Recommendation to Oji Nepia Co., Ltd.

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令和6年2月15日 公正取引委員会  公正取引委員会は、王子ネピア株式会社(以下「王子ネピア」という。)に対し調査を行ってきたところ、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第2項第4号(不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止)の規定に違反する行為が認められたので、本日、下請法第7条第3項の規定に基づき、同社に対し勧告を行った。 1 違反行為者の概要 法 人 番 号  7010001074762 名   称  王子ネピア株式会社(注) 本店所在地  東京都中央区銀座五丁目12番8号 代 表 者  代表取締役 森平 高行 事業の概要  紙パルプ加工品等の製造販売 資 本 金  3億5000万円   (注)王子ネピアは、王子ホールディングス株式会社が全額出資する同社の子会社 2 違反事実の概要 ⑴ 王子ネピアは、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者(以下「本件下請事業者」という。)に対し、自社が販売するマスク(以下「本件マスク」という。)の製造を委託していた。⑵ア 王子ネピアは、令和2年12月頃、将来、本件マスクの製造委託先を王子ホールディングス株式会社の子会社(王子ネピアとは別の子会社)に変更する旨を本件下請事業者に伝えた上で、今後の取引について本件下請事業者と協議した結果、令和3年4月から令和4年3月末までの1年間(以下「令和3年度」という。)を納品期間として過去の年間平均納品数量に相当する数量の本件マスクを発注することを本件下請事業者との間で合意した。  イ 王子ネピアは、令和2年12月、本件下請事業者に対し、過去の年間平均納品数量に相当する数量等を記載した令和3年度の発注書(以下「発注書面」という。)を交付した。 ⑶ア 王子ネピアは、発注書面において、具体的な月ごとの納品数量については相談の上で決定するとしており、毎月、本件下請事業者の本件マスクの生産状況を確認しながら具体的な本件マスクの品種別の納品数量等(以下「本件納品数量」という。)を決定し、自社が納品を希望する月の約半月前に、翌月までの本件納品数量を本件下請事業者に伝達していた。本件下請事業者は、王子ネピアから伝達された本件納品数量を承諾の上、本件マスクを納品していた。  イ 本件下請事業者は、発注書面に基づき本件マスクの製造に必要な資材や従業員を確保するための努力を続けていたところ、令和3年12月下旬、王子ネピアに対し、資材等の確保のめどが立ち、発注書面記載の数量にほぼ相当する数量の本件マスクの納品が可能であることを連絡したにもかかわらず、王子ネピアは、その連絡を受けた後、本件下請事業者に対し、令和3年度における本件マスクの合計納品数量が発注書面記載の数量の7割程度となる本件納品数量を伝達するとともに、当該納品数量を超えて本件下請事業者が生産したとしても受領する意向はない旨を伝達することにより、本件マスクの発注の一部を取り消した。  ウ 前記イの本件マスクの発注の一部取消しにより、本件下請事業者は、既に手配していた資材に係る費用(仕入代金、倉庫までの運送料及び倉庫保管料並びに廃棄費用)及び人件費として2622万7735円超の額を負担することとなった(下請事業者1名)。⑷ 王子ネピアは、前記⑶の行為により、本件下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、本件下請事業者の給付の内容を変更させることにより、本件下請事業者の利益を不当に害していた。⑸ 王子ネピアは、令和5年11月22日、本件下請事業者に対し、前記⑶の行為により生じた費用に相当する額を支払っている。 3 勧告の概要 ⑴ 王子ネピアは、次の事項を取締役会の決議により確認すること。  ア 前記2⑶の行為が下請法第4条第2項第4号の規定に違反するものであること  イ 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の内容を変更させることにより、下請事業者の利益を不当に害さないこと ⑵ 王子ネピアは、今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の内容を変更させることにより、下請事業者の利益を不当に害することがないよう、自社の発注担当者等に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。 ⑶ 王子ネピアは、次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。  ア 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注の一部を取り消すことにより、下請事業者に生じた費用相当額を、下請事業者に対し支払ったこと  イ 前記⑴及び⑵に基づいて採った措置 ⑷ 王子ネピアは、次の事項を取引先下請事業者に通知すること。  ア 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注の一部を取り消すことにより、下請事業者に生じた費用相当額を、下請事業者に対し支払ったこと  イ 前記⑴から⑶までに基づいて採った措置 ⑸ 王子ネピアは、前記⑴から⑷までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。 関連ファイル (印刷用)(令和6年2月15日)王子ネピア株式会社に対する勧告について(349 KB) 問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部下請取引調査室 電話 03-3581-3374(直通) ホームページ  https://www.jftc.go.jp/

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Regarding the completion of the review regarding the integration of Amazon.com Inc. and iRobot Corporation

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令和6年1月31日公正取引委員会  公正取引委員会は、アマゾン・ドット・コム・インク(本社米国)及びアイロボット・コーポレーション(本社米国)が計画した統合(以下「本件統合」という。)について、独占禁止法第4章の規定に基づく本件統合に関する計画届出書の提出を受け、企業結合審査(以下「本件審査」という。)を行ってきたところ、令和6年1月29日に両社が本件統合に係る契約を解除したため、本件審査を終了した。 【参考】本件の経緯令和4年8月5日 アマゾン・ドット・コム・インクによる本件統合の公表令和6年1月9日 本件統合に関する計画の届出の受理(第1次審査の開始)令和6年1月29日 両社による本件統合に係る契約の解除令和6年1月29日 両社による届出の取下げ 関連ファイル (印刷用)(令和6年1月31日)アマゾン・ドット・コム・インク及びアイロボット・コーポレーションの統合に関する審査の終了について(64 KB) 問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局企業結合課電話 03-3581-3719(直通)ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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